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771 多田図尋常小学校の人々 「次回はクライスラーとミルシテインを取り上げます」


 3時限目のT.eng氏の「音楽」はヴァイオリニストシリーズの第1回。自らの技巧の限界は百も承知、時には音が軋むことすら厭わずに音楽の本質を引き出し、高い評価を得たヨーゼフ・シゲティと、超絶的な演奏で多くのヴァイオリニストを絶望に落としたといわれた天才バイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツの二人を取り上げました。

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 ハンガリー出身のシゲティはヘタウマというか、侘び寂びの演奏で、テクニックはつたなくても弾き切ってしまう構成力を持ち、その度量の大きさにバッハの演奏では高い評価を得ました。超絶技巧のためにデフォルメを厭わない時代に、あえて譜面通りに演奏して音楽の核心に迫っていったのです。

 そしてロシア(現リトアニア)出身のハイフェッツは神童と呼ばれ3歳からヴァイオリンをはじめ、7歳でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏してデビューしました。その卓越した演奏技量でどんな難曲でも、あっさりと弾きこなしてしまいました。

ハイフェッツが13歳の時に、その演奏を聞いた世界的ヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーを「私もヴァイオリンを叩き割った方がいい」と言わしめ、当時のヴァイオリニストたちは、その演奏から劣等感に落ち込む「ハイフェッツ症候群」にかかったそうです。ハイフェッツはヴァイオリン協奏曲、室内楽、小品まで、様々な作品を演奏したのですが、今回は珍しいハリウッド映画の中で演奏している動画も見せていただきました。

  最後に対照的な二人によるメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲を聴き比べました。どちらもとても良かったです。T.eng氏の一言感想です。

 

次回はクライスラーとミルシテインを取り上げます。