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784 多田図尋常小学校の人々「年明けヴァイオリニスト第4弾はオイストラフとクレーメル」


 2時限はプロの音響技術者ミュージックバリスタT.eng氏による音楽授業のDJプログラム「Coffee Break Music In Tadaz」の渾身の年末特別編です。
 1部は「禁酒法時代のギャングとジャズ」。
 禁酒法時代に、酒の需要を見越したギャングがカナダで酒を買い占めたり、国内でも密造、販売、飲酒する場(クラブ)を提供し、当時の有名人を顧客にする一方、取り締まりの保安官から判事まで徹底的に買収し、それらをビジネスとして大成功していく背景の説明でした。また南部の黒人奴隷の日常の喜怒哀楽を歌って生まれたブルースが、19世紀にジャズとなり、時代が下がってスペイン戦争や第一次世界大戦で徴兵された兵隊とともにヨーロッパに渡り、クラシック音楽に影響をあたえます。特に抑圧されてきたユダヤ系の音楽家に注目され、たとえばガーシュインによってオペラにもなりました。アメリカのギャングも新しいジャズの流れを巧みに取り入れて、クラブでは最先端のジャズプレイヤー、グレン・ミラーなどが演奏していました。黒人のジャズが特有のリズムや破壊力を持ち、ソロの重視に対して、白人のジャズはアンサンブルを重視して、完璧なオーケストレーションを実現していました。これがジャズの標準となり世界に広がっていくことになります。
 最後に当時の「超一級のボイス」として有名なフランク・シナトラの「アラウンド・ザ・ワールド」を聴きながらのお別れとなりました。
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●50年前?の日本はジャズブームで、どこの本屋にもスイングジャーナル雑誌が平積みでした。FMラジオからもジャズが流れて音楽に疎い私でさえ聞いたことのあるスイングジャズ。妙に懐かしかったです。やっぱりビッグバンドって格好いいですね。
 今回の禁酒法の裏の話をジャズとともに聞いて、前々回の井上清三さんの社会科「禁酒法と民主主義」という表の話と今回の話が表裏セットとなり、当時の歴史的状況が厚みを増して完成した感じでした。(校長)
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 続く3時限は年末特別編の2部の「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」です。

 1938年にオーストリアを併合したナチス政権が国内世論の安定化のために1939年末に始めました。初期はローカルなコンサートでヨハン・シュトラウスファンのオフ会のようで、1回目のウイーン生まれの指揮者クレメンス・クラウスはとてもウイーン的な演奏をしていました。

 

クレメンスの死後も、しばらくウイーン生まれの指揮者が続き、1981年にフランス人のロリン・マゼール,1987年にはドイツ人のカラヤンが指揮してからは国際的となり1990年にアジア系のズービン・メータ、2002年には日本人の小澤征爾が指揮をしました。ベルリンフィルに磨きをかけて超一流に育てあげたカラヤンは「将軍」であるウイーンフィルを相手に、今までのウイーン的でローカルなウインナワルツとは全く違う演奏でした珍しく残っていたテープ録音のクラウス指揮の「春の声」と晩年のカラヤンの指揮を聴き比べました。ローカル色タップリなウインナワルツが、洗練されてどこかあっさり系になった感じがしました。昔、私が聞いていた「春の声」はまさしくカラヤンの演奏でした。国際化とは誰でも受け入れやすいということなのですね。

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7歳の娘さんと親子で参加された澤岡詩野さん(ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員)からも次のような感想をいただきました。
●昨日はありがとうございました.3限目だけの参加となりましたが,とても素敵な時間となりました.ミュージックバリスタT.eng氏の渾身のプログラム,本当に贅沢ですよね….
「あっ,同じ曲なのに全然違う!」と,なんの説明もしていないのに気付く7歳.「指揮者の人,本当に楽しそうだね〜」と天才の最高傑作(最後の部分)を独自の表現で楽しむ7歳.
カラヤンや世界の小沢について私がわかる範囲で説明しつつ,親子で楽しんだ時間でした。以前にもお伝えしておりますが,この時間は子ども向けクラシックコンサートなんかの場じゃないのですよね.本物は子どもや私の様な音楽に無知な人間の心も揺さぶるのですね.改めて,そんな時間に入れて頂けた幸せをかみしめております.
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T.eng氏からもメッセージが届いております。

●今日のジャズは語りたい内容がありすぎましたが、何とかまとめられました。年明けはヴァイオリニスト特集第4弾。オイストラフとクレーメルを取り上げます。

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