私は川崎の不登校児のフリースペース「たまりば」をスタッフとして立ち上げに関わって、その後、さまざまな活動を経て、2011年に地元、相模原で教会をお借りして、お母さんたちと「お母さんたちのしゃべり場」というスペースを始めました。教会と言っても普通の住宅を改造した小さな教会で、礼拝堂も30人くらいでいっぱいなんです。そして2016年に川崎の中学生が多摩川でいじめで亡くなるという事件を知って大きなショックを受けました。こんな事件を防ぐには孤立している親子のつながりが必要だと思ったのです。周りを見てもシングルマザーで頑張っているお母さんが孤立して大変な思いをしているわけです。
私が働いている地域活動支援センターは精神の方の相談に乗っているのですが、1000人くらいの登録者を5人のスタッフで対応しているので電話が鳴りっぱなしで食事を取る時間もない有り様ですが、その地域支援センターから、子ども食堂を始めたいと相談がありました。でも新しく始めるよりも私たち「ほっとスープ」が教会から丸ごと引っ越そうという案も浮かんでいます。だってそこのキッチンは30人分の食事を楽に作れる立派なキッチンがあるんです。
私たちは現在、子ども食堂として登録しているので、行政から助成金がでたり、企業や団体から食材の寄付が来ますが、賞味期限ギリギリの食材が突然大量に届いたりして「私たちは善意の余り物の処理場じゃない」という思ったりもします。また好意的に支援してくれる行政や団体はありがたいのですが、彼らに「私たちは貧困の子どもを助けるためにいいことをしているんだ」という匂いを感じて違和感を持つときもあります。だって子どもやその家庭への支援は行政がやるべきのにこんなことで満足されては困るし、私たちもその片棒を担いでしまっているわけで正直、戸惑いもあります。でも初期の子ども食堂で出会ったお母さんたちとも長い付き合いがあり、当時の赤ちゃんも立派な小学生になっていると、感慨深いものがあります。