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821 多田図尋常小学校の人々 「機会を見て、また参加させてくださいませ」


●2時間目 社会
「子ども食堂って言われてもね・•」
〜ご飯を作って食べながらお喋りしています〜
  児玉真由美さん  ほっとスープ スタッフ
                                        
校長(中城)は古くからの友人の児玉真由美さんから、ホリスティック教育のことを伺ったり、福祉通所施設ぴぐれっとの給食ボランティアや上映会に誘っていただいたりお世話になってきました。児玉さんはご友人と「お母さんたちのしゃべり場」を始めて、そこで食事も出すようになり、今では「子ども食堂」としても多くの親子が参加されるようになったそうです。今回は立ち上げの様子や、現状、さらには将来の展望など伺いました。
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  私は川崎の不登校児のフリースペース「たまりば」をスタッフとして立ち上げに関わって、その後、さまざまな活動を経て、2011年に地元、相模原で教会をお借りして、お母さんたちと「お母さんたちのしゃべり場」というスペースを始めました。教会と言っても普通の住宅を改造した小さな教会で、礼拝堂も30人くらいでいっぱいなんです。そして2016年に川崎の中学生が多摩川でいじめで亡くなるという事件を知って大きなショックを受けました。こんな事件を防ぐには孤立している親子のつながりが必要だと思ったのです。周りを見てもシングルマザーで頑張っているお母さんが孤立して大変な思いをしているわけです。

そんなお母さんたちとつながりを広げるツールとして「子ども食堂」が使えるのではと思って、まずは私たちで集まって美味しいランチ食べようと、恐る恐る「しゃべり場」で昼ごはんを出し始めました。すると若いお母さんたちが子連れで参加してくれるようになり、今では社協や支援センターともつながって、そこで紹介されたりして、毎回、10家族くらい参加しています。
 会の名前は「ほっとスープ」。これはある童話から来ているんですが、大きなお鍋にお湯を沸かしていると近所の村人たちがいろんな材料を鍋に入れて見事な具たくさんのスープができるという話です。それに倣って私たちもそれぞれが家から食材を持ってきて作っています。メインメニューはけんちん汁で、それに季節の果物がついたりという感じでした。最近はキーマカレーが多いのですが、これも業務用のトマト缶を私が勘違いして大量に受け取ってしまい、急遽作ったのがキーマカレーで、あまりに大量なのでそれぞれが持ち帰ったり職場に持って行ったりもしました。今はコロナで食堂の代わりに、1家族300円いただいて持ち帰りにしています。若い人から「住む家があっても食事を維持するのが大変です。月一回のご飯だけでも助かります」と言われるので、日本中に目に見えない大変さが広がって、中流がキツくなっているようです。

 私が働いている地域活動支援センターは精神の方の相談に乗っているのですが、1000人くらいの登録者を5人のスタッフで対応しているので電話が鳴りっぱなしで食事を取る時間もない有り様ですが、その地域支援センターから、子ども食堂を始めたいと相談がありました。でも新しく始めるよりも私たち「ほっとスープ」が教会から丸ごと引っ越そうという案も浮かんでいます。だってそこのキッチンは30人分の食事を楽に作れる立派なキッチンがあるんです。

 
 

 

 私たちは現在、子ども食堂として登録しているので、行政から助成金がでたり、企業や団体から食材の寄付が来ますが、賞味期限ギリギリの食材が突然大量に届いたりして「私たちは善意の余り物の処理場じゃない」という思ったりもします。また好意的に支援してくれる行政や団体はありがたいのですが、彼らに「私たちは貧困の子どもを助けるためにいいことをしているんだ」という匂いを感じて違和感を持つときもあります。だって子どもやその家庭への支援は行政がやるべきのにこんなことで満足されては困るし、私たちもその片棒を担いでしまっているわけで正直、戸惑いもあります。でも初期の子ども食堂で出会ったお母さんたちとも長い付き合いがあり、当時の赤ちゃんも立派な小学生になっていると、感慨深いものがあります。

 私が大事にしているのは「しんどい時はやらない」
無理にやっても笑いも出なくなるし、第一、面白くなりなります。それって結構、大事なことなんですよ。
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●まずはタダーズ最高技術顧問T.engさんの感想です。
 それにしても長続きの基本はやはりフォーカスが絞り込めていることでしょうか?
●続いて元小学校教師の井上清三さんの感想です。
 「しゃべり場」ということで繋がりを持つ・・・これが基本なんですね。なんたって児玉さん、おしゃべり大好きだもんなあ。そりゃあいっぱい集まると思います。そこから「子ども食堂」に行くみたいだけど、行政との齟齬の話に、そうだなあと思った。それと、「行政にいい人もけっこういる」の話にも「オッ」ときた。てっぱいの会で官僚と話す機会があるけど、暖かい人いるんだよね。冷たそうな人も多いけどね。
●さらに無農薬野菜生産者坂梨勝一さんの感想です。
 月1のおしゃべりの場が、人を「孤立」から救い、単なる「貧困支援」という言葉にまとまらない、大切な役割を果たすのですね。勉強になりました。
●そして児玉さんから頂いた感想です。
 中城さんが、丁寧にこの小学校をを作っておられること、先ず敬服しました。ぼんやり過ぎてしまう時間が、この日は充実しておりました。井上さんの数学が脳に心地良く、音楽が1日の始まりに心に心地良く。私は話すことで、漠然と考えていたことがはっきりしたり、整理できたり、いいことばかりでした。考えていることを、しっかりと伝えるつもりで話すことが、日常ではなかなか無いのでとても良い空間だと思いました。参加しておられた皆様の質問やご意見に、また気づかされたこともあり感謝です。日曜の午前中がほぼ空いてないのが残念ですが、機会を見て、また参加させてくださいませ。