今回から始まった「バリスタの気まぐれブレンド」編の第1弾です。親子の名演奏家というのはバイオリニストやピアニストなどにもいるのですが、今回は世界的な指揮者のエーリヒ・クライバーと、その息子の天才的指揮者のカルロス・クライバー、この親子にスポットライトを当てていきます。
一方、息子のカルロスは1930年のベルリン生まれで、エーリヒからは音楽的才能は認められるも、父の勧めで大学に進学しますが、途中で音楽に戻って1954年には指揮者としてプロデビューします。有名なエーリヒ・クライバーの息子だということを隠すためにしばらく偽名を使っていました。その後、チューリッヒ歌劇場、バイエルン国立歌劇場の指揮者を経て、ウィーン歌劇場でウィーンデビュー、さらにロンドンのロイヤルオペラ、シカゴ交響楽団などでも指揮をして高い評価を受けます。性格はとても繊細で演奏も年に数回のみ、それも演奏のキャンセルが多いのですが、彼がどこかで指揮をするというだけで評判となり、チケットも発売と同時に完売しました。1999年に事実上の活動休止して2004年に前立腺癌で死去します。
天才指揮者のカルロスは徹底した完璧主義のため演奏やレコーディングのキャンセルも多く、演奏のレパートリーも絞っていました。演奏前には作曲家の自筆譜を調べ、他の演奏家の演奏も入念にチェックするほどで、リハーサルでも楽団員に細かく説明しました。その一方で本番では流麗優美な演奏と指揮姿で観客を魅了し、カール・ベーム、カラヤン、バーンスタインなど、多くの指揮者からも高く評価されています。