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834 多田図尋常小学校の人々「なんとか40分に収まってホッとしました」


秘蔵の漫画「からくりサーカス」全巻の一気紹介を試みる「まこっちゃん」さん。その後、右の写真のように大悲劇が・・。これこそ大ベテランの芸だったのです。

最後に、あの日飛び散らかった漫画本の写真を添付しておきます。直後の地震の影響ではありません。


●3限目社会
 Clown まこっちゃん

   「笑知しました!」

 〜ずっこけクラウンの笑いとAIの巻〜
                石毛誠さん
 
 あるドキュメンタリー映画の上映会の打ち上げでご一緒したのが、「クラウンまこっちゃん」こと石毛誠さん。そのお話が面白く、思わず尋常小学校のゲスト講師をお願いしたところ快諾していただきました。
前打ち合わせや、丁寧な講座準備にも圧倒されて、今日のドキドキワクワクの講座を迎えました。「クラウンまこっちゃん」さんの授業はホワイトボード、フリップを縦横自在に使い分けながら始まりました。

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「クラウンとピエロ」
 クラウンの語源は「土の塊」で、そこから田舎者を表し、滑稽な人、つまり道化者のことです。日本でも、「おかめ ひょっとこ」や狂言の太郎冠者などがいますね。そしてこれが一気に広がったのはハリウッドの無声映画で、チャールズ・チャプリン、バスター・キートン、マルクス兄弟の映画が大ヒットしました。当時、大恐慌など暗い世の中だったで明るい笑いが大ウケしたのでしょうか。
 次にこのクラウンとピエロの違いです。「ピエロ」はフランスの無言劇の登場人物の名前です。役なので演じた役者さんは複数いたと推測されます。そのキャラクターが人気を博したので、お芝居を離れてキャラクターが独り歩きしたと思われます。日本でも明治の詩人、北原白秋の作品に書かれたことから文化的な影響によってピエロブームが起こり、以来日本では道化師はクラウンよりもピエロと呼ばれるようになりました。
 
「AI(人工的な知能)に笑いが作れるか」
まずAIの機能としてはデータの集約と最適化があります。その中のディープラーニングで画像認識や言語処理能力が飛躍的に上がりました。今、話題のChat GPTは対話型で会話するように受け答えができます。ネット上の情報を学習して答えを出してくれます。でも元のネット情報に嘘があれば嘘の解答が出てきます。それでもちゃんと質問をすればかなり精度が上がってきます。この生成型AIは作曲や作画、例えば肖像画の作成などで威力を発揮します。
このAIに笑いが作れるでしょうか。
「笑いとは」
では「笑い」とはなんでしょうか。京大の先生のお話では、人間には「恐れと笑い」という二つの感情があり、動物の喜怒哀楽の感情と恐れは生存本能からで、その中で面白いものを見て笑うのは人間だけだそうです。面白いと笑うのは人間だけで、猿は笑わないそうです。自然界の硬い食物を噛み砕くために顎の筋肉が発達しすぎると笑えないのです。また頭の中で、笑いをイメージできないので笑えないそうです。
 次に「笑いの定義」に入ります。笑いは「嬉しいことで感情が緩む」ことです。人間が笑う感情は、嬉しい、楽しい、面白い場合です。それぞれ英語にすると「嬉しい=happy,joyful 」「楽しい=happy,enjoy」「面白い=exciting,funny」です。このfunnyを日本語に直すと、楽しい、愉快、興味深い、滑稽となります。これら以外で笑うのはバカにしたり、あざける時も笑いますね。別の京大の先生によると笑いには「快」「緊張緩和」「社交(あいそ笑い)」の3種類あります。生物学的には笑うと脳内にセロトニンが放出されます。
「結論」
では結論。「AIに笑いが作れるか?」答えはできません。AIには感情がないからです。笑いを作るには「人を笑わせたい」「人をハッピーにしたい」という思いが必要です。でもAIには、それがありません。しかしこれからメタバースとか新しい技術がどんどん日常生活に導入されていきます。するとその技術上の様々なことを面白がる人が出てきたりします。その結果、その技術上での笑いというのが生まれてくるかもしれません。なのでこれからは「人間の価値って何だろう?」と常に問いながら、価値のある活動をしなくてはならない、そう思います。ありがとうございました。
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授業後に「まこっちゃん」さんからメッセージが届きました。
「リモートと対面の違い」
ちょうどあの日の夜、昨夜、NHKスペシャル「アフターコロナ 人に会うのがツラい 〜科学で解明!心の異変〜」というのを見ました。仙台市にある東北大学加齢医学研究所で光ポトグラフを使った脳科学実験が行われ、初対面の5名の学生に対面での会話と、リモートでの会話をしてもらい、脳の前頭前野の血流量を測定した結果、対面で会話した時には最初それぞれバラバラだった脳活動の波形がだんだん同じになってゆくという同期現象がありましたが、リモートで会話した時には明らかに同期が減少していました。会話は対面でもリモートでも同じに見えましたが、対面では感情の共有や共感があるけれどリモートではあまりない、ということになります。同じ会話でもたんに情報の交換だけになってしまっていたということなのです。
 この番組、あの授業の前に見てたらなぁ、と思いました。AIが相手なら当然脳活動の同期なんてものは起こらないので、感情の共有や共感が生まれないことになります。AIがいくら「笑い」を学ぼうとも、AIが人を笑わせることができない根拠の大きなひとつになったことでしょう。
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 丁寧な授業とメッセージをありがとうございました。また今回、参加された方から以下のように感想をいただきました。
この企画面白いですね。オタクっぽい鉄ちゃんのクイズ、音楽、そしてまこっちゃんの授業の流れ。
楽しみました。クラウンとは、笑いとは、と深い内容をさらりとする辺りは、流石としか言えません。紹介してくださった、写真の数々もお宝もの。それとAIの話は、興味深いです。
まこっちゃん先生の人柄が、随所にあって良かったです。また受けたい!日曜の朝のよい時間です。それにしても、ジョーさん(校長)の企画素敵ですね。
               (ぴんちゃん)
クラウンまこっちゃんからの視点の結論と理解しました。AIはあくまでもデーター集の中から最適データーを出す。人を楽しませようという”心が無いから”と理解しました。まさに鉄腕アトムの世界で、”僕には心が無い。だから、人を笑わせることが出来ない”
 話の流れとして、前半はクラウンの基礎知識。
後半に、”笑い”の英語や日本語変換の話から、”楽しませる”に持っていき、結論に背負い投げた気がしました。そして、バーナムの名言で、ラウンドがカンカンカーンと鳴り終わりましたね。
                (Noriちゃん)
数ヶ月前ですが、夢で『クラウンの歴史アーカイブにアクセス』というメッセージが聞こえてきたことがあったんです。今日のまこっちゃんの授業を受けて『あ〜、これのことだったのね』とピンときました。
貴重な資料&写真のご提供と共に、『AIには人を笑わせることはできない』という答えをいただき、なんだか希望が湧きました。放課後トークも楽しかったです。ありがとうございました<⭐️.png>
                 (太陽子さん)
人間の未来は「AIプラスワン」であることが求められている。それができてこそがクリエイティブということでしょう。(T.ebg氏)
YouTubeを観た後の参加となりましたが、YouTubeの中の「まこっちゃん」と実物の石毛誠さんとのギャップに衝撃! 真面目でお仕事には厳しそうで、「本当に同一人物?」という感じ……。終始緊張しておりました。
「AIは人を笑わせようと思ってない」……。今後とも自信を持ってアナログのエンタメで幸せになっていこうと思います!以上でーす!  (坂梨)
●クラウンまこっちゃんさんの授業、40分があっという間で楽しかったです。さりげないけれど、その丁寧なお話から入念な準備を感じました。本題の「AIに笑いが作れるか」というお話が完全に理解できたかどうかは怪しいですが、楽しかったことは確かです。どうもありがとうございました。(中城)
クラウンまこっちゃん」さんからの情報です
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