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844 多田図尋常小学校の人々「高3の空手マン、ちょっと気になりますね」


●1限目 数学
「やわらかな思考を育てる               数学問題集」

 井上清三さん(元小学校教師・日本色覚差別撤廃の会事務局長/空手師範)

 

前回に続いて旧ソ連の天才を育てる数学問題集からの出題です。宿題は前回と同じ覆面算です。
問18
 ある国の政府の諜報部が、べつの国の暗号で書かれたメッセージを手に入れました。それはBLASE+LBSA=BASESとなっています。同じアルファベットは同じ数字を表し、異なるアルファベットは異なる数字を表す、ということはわかっています。2台の巨大コンピュータにかけると、それぞれ異なる答えを出しました。2台とも正しいのでしょうか、それとも片方のコンピュータは修理する必要があるのでしょうか。

井上先生は正解が一つあることを説明されましたが、解答の
「答えは一つしかありません。51286+1582=52868。ヒントはL+L<10、S+S>10。そうでないとBASESの100の桁と1の桁の数字が同じでなくなってしまいます」
というのがはっきり理解できないとのことでした。、もちろん校長の私もわかりません。これも次回までの宿題かな。
 そして次のひらめき問題は「A5の紙にハサミを使って象が通れる穴を開けなさい
 校長は螺旋形に切った細長い紙の真ん中にスリットを入れて広げることを思いつきましたが、正解は上下から櫛形に切り込みを入れて紐状の輪を作る方法を井上先生が実演してくれました。確かに私の方法ではハサミではできません。参りました。またゲストの井上麻子さんは数学が苦手なので、急遽、空手をやっている息子さん(高3)の応援を受けて参加されていました。
「数学」の授業はいかがでしたか。
ゲストの井上麻子さんの感想です。
⚫️算数、もう少しちゃんと考えてみたいです。(引き算が今でも苦手)
そして井上先生の感想と解説です。
⚫️感想と宿題、前回の解答を送ります。

3の空手マン、ちょっと気になりますね。では解説です。

       ・     ・     ・

 

 ひらめき問題はなんとなくわかるような気がするけど、やってみないと分からない。だからはさみで切っている時はドキドキワクワクしたなあ。結果出たけど、この穴じゃ象は通れないねえ。

 

問題18は、前回やったように一つの文字の数字を仮定して、連立方程式のように一つ一つ数字を当てはめて行く問題。ひねってあるのは、他に解答がないかを証明する問題になっています。だから、校長は、50数個の計算をしたそう。

 二週間前に解いたはずなんだけど、実際の授業になると忘れてるもんだなあ。ちょっとあやふやになっちゃた。答えの説明もおかしいと感じたのにわすれちゃった。もう一回やってみる。

 

BLASE

+LBSA

BASES

 

〇1の位と100の位が同じ数Sならば、

A+B=SでE+A=Sとなるが

BとEは同じじゃない、という事は、

どこかに繰り上がりがあるはず。つまり

①一の位だけに繰り上がりがある

②十の位だけに繰り上がりがある

③一と十の位に繰り上がりがある

 の3つの場合が考えられる。以下、それぞれ検討する。

①の場合

千桁のLとLを足しても繰り上がりがないということは

2L<10からL<5、そしてLとLを足すと2L=A、

十の位のSとSを足しても繰り上がらないということは

2S<10

一の位のEとAを足して繰り上がるということは

E+A=10+S、2S+1=E

これらの式を整理すると

S+A=9

E=19-2A

A+B=Sの
3つの式ができる

 

次にL<5から、Lは1、2、3、4が考えられる。

まずLが1の時は2L=AよりAは2となる、

それを3式にあてはめて行くと

 

 

 

一の位くり上が

 

 

 

×

 

 

×

×

×

 いずれの場合も数字が負になったり、式が成り立たないので、不可である。

以下、同様に②と③の場合も検討してみる。

 

②の場合

 2L<10で、2L=A、

2S>10、E+A=S、2S=E+10

 よって、L<5なのでLが1の時はAは2、また上の式よりS+A=10とE=10-2A、A+B+1=Sができるので、それにあてはめて行くと

十の位くりあが

 

 

×

 

 

×

 

 

×

 A=2の場合のみ成り立つことがわかった。

 

③の場合

2L<10で、2L=A、2S>10、E+A=S+10、2S+1=E+10

 よって、L<5なのでLが1の時はAは2、また上の式よりS=19-AとE=19-2A、A+B+1=Sができるので、それにあてはめて行くと

一・十の位くり上が

 

 

 

×

 

 

×

 

 

×

 

 

×

 いずれも成り立たない。

よって答えは十の位で繰り上がりのある②のA=2の場合の一つだけ

 

*ほんとめんどくさい問題よくやるよ。高齢者は時間があるからなあ。

 

それで今回の宿題、校長の得意な問題です。

問題19

 1ドル札だけで127ドルあります。これを7つの札入れに分けて入れますが、1から127ドルまでの支払いをするときに、札入れを開けてお札をとりださなくても札入れをそのまま渡すことで支払いができるようにしたいと思います。どのように分けていれればよいでしょうか。

 

         ・     ・    ・

以下は校長(中城)の感想です。

⚫︎数字あるいは数学の問題を見るたびにアドレナリン全開で挑戦し、見事に正解すると大喜びをする井上先生。対照的に数学問題を見てもワクワクせずに、ひたすら省エネで事務的に処理することしか考えない私。違いを痛感しました。数学の得意不得意は、数字への愛の有無かもしれないと思いました。難問は続きます。