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860 多田図尋常小学校の人々「これから応用に入ります。心してください」


1限目 数学
「やわらかな思考を育てる      数学問題集」

   井上清三さん(元小学校教師・
    日本色覚差別撤廃の会事務局長/空手師範)

 元小学校教師、井上清三さんのオンライン授業は旧ソ連で天才を育てるために
作られた数学問題集から「組み合わせ」をやっています。
今回は初参加の方もおられたので、駆け足でこれまでのおさらいからスタートしました。そして前回の宿題です。
前回の宿題
 6色の布切れがあります。それらを細長く切り、異なる3色を横に縫い合わせて三色旗を作ろうと思います。何種類の旗ができるでしょうか旗の上下は区別するものとします。
答え:一つの旗(上中下)には同じ色は使えないので、1色使うごとに使える色が減っていきます。
まず旗の上部は6色から1つを使えます。次の中部は残る5色から1つ、最後の下部は残る4色から1つ。ゆえに6色✖️5色✖️4色=120種類
校長は面倒な方法を考えました。まず三色旗を無視して全組み合わせを考え、そこから同色がダブってしまった組み合わせを除きました。改めて井上先生が計算してくれました。
*校長(中城)の考え
上中下の3つのパートに全色使うとするなら、それぞれのパートの色が6通りで、
それが上中下の3つだから6✖️6✖️6=6
三色旗にするためには三つの色とも違う色でなければならないので、
色が重なって使えない組み合わせを除きます。
 まず全パート同じ色になる組み合わせは・・・6通り
 次に2色同じで1色だけ違う組み合わせを考えると、
 下の2パートが同色の場合は同色部が6通りと、
 残るパートで使える色が1色減り5色なので
                  ・・・6×5通り
 同様に上と下が同色の場合     ・・・6×5通り
 同様に上の2パートが同色の場合  ・・・6×5通り
 よって3色旗として使えない組み合わせは、全パートが同色の6通りと2パートが同色の6通り✖️5通りが3つ=6✖️5✖️3=90通りで、合計96通り
よって三色旗になる組み合わせは
-(6+6××3)=216ー96=120通り
これは結構、面倒なやり方になってしまいました。
 
 
便利な階乗(!)
 さて今回は、n個のものを一列に並べるやり方を計算してみましょう。このような並べ方は順列とよばれ、組み合わせ論や代数学で重要な役目を果たします。そこへ行くためにちょっと寄り道
 nを自然数とするとn!(nの階乗といいますは1×××・・・n=n!という積を表します。したがって2!=2 3!=6 4!=24となります。計算の便宜と、整合性をもたせるために、0!=1と等しいとします。
練習1
 階乗を用いて、次の式を簡単に表しなさい。
(a)10!×11
(b)n!×(n+1)
解答
(a)11!
(b)(n+1)!

 

練習2
(a)100!/98!を計算しなさい。
(b)n!/(n-1)!を簡単にしなさい。
解答
(a)100×99=9900
(b)n
練習3
 pを素数としたとき、(p-1)!はpで割り切れないことを示しなさい。
解答
{(p-1)(p-2)(p-3)・・・1}/pで、
1~(p-1)までの数字は全てpより小さいため、pと約分できる数字はない。よって割り切れない。
 
では次の問題に進みます。
問16
 赤、黒、青、緑の4つのボールを一列に並べるとすると、何通りのやり方があるでしょうか。
解答:まず最初に4つのうち、どれでもいいから1つボールを置きます。次に残された3つのボールのうちの
1つのボールを置きます。次の次は残された2つのうちの1つのボールをおき、最後に残された1つのボールを置きます。よって答えは4✖️3✖️2✖️1=24つまり 4!
言葉の問題
  アルファベットをいくつか並べたものを「言葉」とします。例えばA,B,Cの3文字を使うとABC,ACB,BAC,CAB,CBAの6つの言葉ができます。次の5つの問いでは、そこに示されている言葉の文字を入れ替えて、いくつ違う言葉ができるかを計算してください。
問17
 「VECTOR」
解答:この言葉は全部違うアルファベット文字を使っています。最も左側の文字には6文字全てが使えるので6通り、左から2番目が使えるのは残りの5文字、左から3番目が使えるのが4文字、左から4番目に使えるのは3文字、左から5番目に使えるのは2文字、最後の6番目に使えるのが1文字です。
よってこれらを掛け合わせると
6✖️5✖️4✖️3✖️2✖️1=6!=720
問18
 「TRUST」
校長が考えたのは5文字のうち2文字が同じ文字なので、まず問17を参考に5文字の組み合わせを計算して、そこから「T」が同じ位置にきた組み合わせを取り除けばよいと思いますが、書き出して確認するとかなり大変そうです。よりスマートなやり方があるのかもしれません。次回が楽しみです。
校長の感想
 まだ基礎だそうですが、校長としては手強さを感じ始めています。「階乗」もとっつきにくかったのですが練習問題に悪銭苦労して取り組んでいるうちに「階乗」を使わざるを得なくなり、次第に「階乗」への距離感が減りました。
井上先生の感想
●私の数学の授業、「順列・組み合わせ」は高校数学の学習です。今は基礎をやっており、大学入試の数学の初めのとっかかり部分を思い出したんじゃないでしょうか。これから応用に入りますので、心しておいてください。今回の宿題の問12、別解を校長は考えてくれました。公式のようなものしか頭にない私としては、おもしろかった。