869 多田図尋常小学校の人々「とても面白かったです」

●２限目　社会

「体に聴く、命に聴く」

　校長（中城）は30年程前に、鍼灸師の小林けさみさんと、ある教育関連のネットワークで知り合いました。素敵なご家族に囲まれて暮らす小林さん。その柔軟な考え方と、軽やかなフットワークが強く印象に残っています。小林さんはホリスティック医療にも関わっておられ、その手当は単に症状に鍼灸治療をするのではなく、相手の状況や体の状態をじっくり聴き、体全体として見ていくことが基本だそうです。また小林さんは、電話やチャットを使って子どもたちの声を聴く「NPOしながわチャイルドライン」の活動をしています。鍼灸とチャイルドライン。どちらもじっくり聴くことが共通しているように思います。今回は小林さんに「聴く」ことについて伺いたいと思います。

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鍼灸とチャイルドライン

　こんにちは小林けさみと申します。鍼灸師と、ボランティアとして子どもの声を聴く「チャイルドライン活動」にも関わっています。チャイルドラインは世田谷の保坂展人区長たちが発祥のイギリスに視察に行き、日本でも始まりました。現在、日本で２０００人近くのボランティアが参加して、品川区では95名登録しています。また現在は立正大学の心理学部と提携して毎週火曜日に講座を開いています。学生が授業として11名受講していて、一般参加者が14名の合計25名です。この講座を通して、さらにチャイルドライン活動が広がっていけばと考えています。鍼灸は以前は場所を借りていましたが、現在は訪問施術に切り替えてお声が掛かると、さまざまなところにお伺いしています。以前、週１回、ホームホスピスにも訪問していました。ホームホスピスというのは一人のいわゆるスーパー看護師の方が始めたもので、一般住宅2階の３部屋をホスピスとして患者さんを受け入れ、そこに専門医と看護師など必要な専門家が連携して必要なサポートを提供するものです。数年前からスタートしたのですが、新しい取り組みでもあり、なかなか運営は大変なようで、現在は休止しています。

刺さない鍼

　私のやっている刺さない鍼で使っている鍼はこれです。銀でできており先端は尖っておらず、それをツボに当てていきます。私自身が、鍼を体に刺すことに強い抵抗があったので、これに関心をもち使っています。人って不調になる前にその前兆がありますが、それを放置するとどんどん悪化していきます。そんな時に足を温めるだけで、また手を当てるだけで、血流がよくなり体が緩んできて楽になったりします。患者さんからも「よくわからないけれど、とても楽になりました」などと言われます。実はツボは、体の状況に合わせて動いていくものなのですね。面白いのは現在、米軍の兵士一人一人が耳鍼セットを携行しているそうです。ピップエレキバンの磁石を１mm位の鍼にしたようなものです。耳には全ての体と繋がっているツボがありますから、体が不調な時に自分で鍼をさしてケアするのですね。