「Hiphop文化を作った
オーディオ、パソコン製作、鉄道 etc.)
数学担当の井上さんが体調不良で休講となり、代わってT.eng氏がHiphopの文化を作ったと言われるテクニクス(パナソニックのオーディオブランド)ターンテーブルSL1200についてお話していただきました。
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今日はDJならびにHiphop、レゲエなどの文化を作ったと言っても過言ではない テクニクス(現パナソニック)
のターンテーブルSL1200についてお話をします。レコードを回転させるのがターンテーブルですが、それを駆動するには二つの方法があります。一つはモーターの回転をベルトやアイドラー・プーリーを介して間接的にターンテーブルに回す方法、もう一つはターンテーブルにモーターを直結して回転を伝えるダイレクトドライブです。
1972年にパナソニックは、初めてのダイレクトドライブのターンテーブルSL1200を発売しました。元々、家庭向けに開発した製品でしたが評判が良く、次製品に向けてアメリカで調査をしたら、ディスクジョッキーがダンスホールで大音量で鳴らしながらレコードを再生したり、レコードのスピードを意図的に変えたりと予想外の使い方をしていることがわかりました。ならばもっと使えるようにしてやろうと徹底的に設計を見直し、シャーシーを頑丈にしてハウリング対策と、それに対応したアームを設計、ターンテーブルの回転制御に高精度の水晶発振器を使い、さらには強力なサーボモータを採用したマーク2を送り出したのです。
この製品はダンスホールの大音量下で振動を与えてもハウリングや針飛びも起こさず、また回っているレコードを手で急停止したり、逆回転しても、すぐに元の順回転に戻って再生でき、回転数も自在にコントロールできる優れものでした。そのため多くのDJに目をつけられて愛用され、後発のパイオニアやスタントンなどの製品も、その形はSL1200に準じたものでした。このSL1200は重量が10キロ以上ありますが、とにかくタフな作りで、優れたインシュレータのため共振が起こりにくく、ターンテーブルの回転トルクも強いなどと、DJのヘビーな使い方に耐えうるのです。
日本では数年ごとに新機能をつけた新しいシリーズが生まれ現在マーク7まで発売され、価格も10万円くらいしますが、現在も中古のマーク2が5万円程度で、いまだ現役で流通しています。
Hiphop音楽ではターンテーブルを単なる再生装置から演奏楽器に変えたことは、とても大きいことでしたが、その立役者は日本の テクニクスのSL1200の存在だったということがお分かりいただけたでしょうか。