現代クラシックギターの
可能性を広げた
ナルシソ・イエペス
ナルシソ・イエペスは1927年にスペインのロルカで生まれました。4歳でギターに触れて、その後、バレンシア音楽院に入学して作曲家ビセンテ・アセンシオに出会います。さらにマドリード音楽院で、いわゆる英才教育を受け、1947年にスペイン劇場で、ロドリーゴのアランフエス協奏曲を演奏しました。パリやジュネーブでも演奏会で成功し有名になっていきます。1950年から修行のためヴァイオリンのジョルジュ・エネスクとピアノのヴァルター・ギーゼキングに習い、音色や、直感力、誠実さなど、演奏に関するもろもろを学びました。1952年に映画監督ルネ・クレマンと出会い、映画「禁じられた遊び」の音楽を頼まれます。もともとセゴビアに依頼するつもりでしたが金額面で折り合わず、24歳だったイエペスに回ってきたのです。メインテーマ曲の「愛のロマンス」は大当たりし、イエペスは世界中に知られる存在になりました。さらに高い音質を求めてギター職人と10弦ギターを開発し、それを持って世界各地で演奏してまわりました。人気も圧倒的となり、レパートリーも広く、録音したレコードも50枚以上あります。1997年に69歳で亡くなりました。
クラシックギターの開祖がセゴビアならば可能性を広げたのがイエペスです。イエペスは20世紀のギター音楽を深く探究して、その可能性を広げていきました。彼の音楽のレパートリーは広いですが、ベースはスペイン音楽にあります。現代ギター作品では、ギターだけが持つ音楽性を極め、作品のあるべき姿を徹底的に研究し尽くしています。10弦ギターを持って世界各地で演奏したのもそのうちの一つと言えます。それ以外にも、演奏時の手や指の筋肉の動きを科学的にアプローチするなど、現代では当たり前となっていることをさきがけて取り入れていました。
てん
鯨井さんの感想
T.engさんのギターについてのお話は非常に興味深く、もう一度復習したいと思っております。クラシックとギターの組み合わせは聞いたことがなかったのでとても有意義な時間となりました。大変良い時間を過ごすことができ大満足でした!ありがとうございました!
校長(中城)の感想
私が学生の頃、セゴビアとイエペスの両巨頭の名前は日本中知れ渡っていました。特にイエペスの「愛のロマンス」は、ギターを持っている人は誰でも挑戦していたように思います。でも二人の背景はあまり語られることもなく、私も初めて知りました。
T.eng氏の感想
次回はシュヴァルツコップとポップを取り上げます。