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899 多田図尋常小学校の人々「人間ってこんなにエネルギーがあるんだ」


1限目 社会
「体に聴く、命に聴く2」
  鍼灸とチャイルドラインに関わって
     小林けさみさん(鍼灸師)
 
 本日予定の「人生で大事なことは映画から学びました」〜始まりは小2で観た「禁じられた遊び」〜は 講師の雨宮真由美さんが体調不良で休講ということになりました。その時、浮かんだのは昨年11月にお話いただいた鍼灸師の小林けさみさん。急遽。お電話でお願いをすると快諾いただきました。ありがとうございました。11月に「体に聴く、命に聴く」というテーマで、刺さない鍼灸についてお話をしていただきましたが、今回は続編としてチャイルドラインについてお話しいただくことになりました。

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今朝、突然、中城さんからお電話いただき驚きましたが、チャイルドラインについてお話をする機会をいただきありがとうございました。
チャイルドラインの始まり
 チャイルドラインはイギリスでで困った人を助ける電話、ヘルプラインとして始まりました。そこから行政が一体になって必要に応じて警察なども迅速に動く仕組みを作ったようです。それを25年くらい前に牟田貞三さんや、現在の世田谷区長の保坂展人さんがイギリスまで視察に行き、日本でも世田谷区からスタートしました。それから遅れて2年くらい後に品川でも始まりました。現在は全国で68箇所、1800人くらいのボランティアで活動しています。昨日、全国集会があり、よりしっかり活動できるようなガイドラインの充実について話あいをしてきました。現在、この活動について国から補助が出ており、フリーダイヤルを使って全国どこから無料でかけられるようになっています。
チャイルドラインを知らせる
 チャイルドラインの存在を18歳未満の子どもたちに知らせなくてはいけないので、チャイルドラインのカードを作って配布しています。品川では教育委員会の協力を得て公立小中学校に5月ころに配っています。現場に負担にならないように新クラスの人数を教えてもらい、クラスごとに輪ゴムでまとめて送るんですよ。私立は対象外なので、それぞれの学校に電話で伺って私たちで手分けしてお配りしています。また例えば港区や中央区にはチャイルドラインがないので、そちらにも品川から配布しています。そんな方法で少しずつ定着してきました。またチャイルドラインの活動者を増やすために毎年10月から毎週火曜日全11回の連続講座を開いています。私は5期生なんです。これを立正大学心理学部の必修に入れていただき毎回、学生が10人くらい一般が15人、合わせて25名で人権、性の話、仲間作りなどを取り上げています。
チャイルドラインの活動
 チャイルドラインの活動は二つあって、電話は毎日16:00~21:00日本各地で対応しています。品川の活動は水金が電話で水木金土はチャットで受けています。当番を決めてやっています。全国で年に184,627件の電話、チャット11,817件かかってきますので、全部は対応できません。チャイルドラインには4つの約束があります。名前は言わなくてもいい。切りたい時に切っていい。指示やアドバイスはしない。約束は守る。これはチャイルドラインのカードにも書いてあります。チャイルドラインを知ってもらうためにカードの配布以外にも頼まれると学校に出前授業をやっています。品川の会員に元校長先生がいるんですが、その方も「え、チャイルドラインってボランティアでやっているんですか」と驚かれたくらいの認識で、学校でカードを配るためか、子どもたちも学校と繋がっていると思っているので「学校とはつるんでいませんよ」と言っちゃったりします。
私とチャイルドラインの出会い
 私がチャイルドラインと出会ったのは、中城さんの教室の教材を作った平井雷太さんの知り合いが一期生で「こんな活動をしている団体があるの」と紹介されたことがきっかけです。気がつくともう18年も経っています。品川の活動拠点はお寺の本堂や工場の隅っこを借りたこともあります。現在は大井町駅近くのアパートを使っていますが、家主さんの代が変わったらお借りできるか不安です。電話相談というと綺麗なブースを連想しますが、電話が2台に回線置いてあるだけです。そこにもう一人、少し難しい話になると2年以上の経験者が支え手になるんです。聞いている話に入れ込みすぎると、少し距離をとって判断する人なんです。単なるおしゃべりから、望まない妊娠、死にたいという相談まで、本当に色々な電話がかかってきますから。
 チャイルドラインの基本は、ただ聴くことなんです。子どもたちは自分で解決する力があるんです。話しているうちに自分で整理され自然と答えがわかる場合もあります。難しいのは虐待が疑われる場合です。虐待が判明した時には、私たちにも通報の義務があります。その時は名前を住所を聞かなければなりませんし。辛い時には、そんなことは話せませんよね。こちらとしても相手がはっきり言わなくても、言葉使いだったり雰囲気で家庭内暴力や親族の性暴力を疑う時も、結構辛いものがあります。
フリースペースの子どもたち
 私は、子どもや赤ちゃんのフリースペースで体を見たりしてるんです。体というのは言葉より正直で、気持ちが即現れるんですね。
T.eng氏:小林さんと中城さんのやりとりを聞いていて感じたのは、この業界の人々は視野が狭くなってしまうこと。そんな時は、例えばまじめに受け取るだけではなくラップ調で聞いてみるなどあると思うんです。もともとラップは社会のマイナーな存在が自分を表現する手段ですから。エミネムだって「ワケアリ」だったのです。一度これを聴きながらやってみてもいいと思います。
小林さん:そうです。私が先ほどのフリースペースで感じたのは「人間ってこんなにエネルギーがあるんだ」それを閉じ込めずに表現するだけですごいことになりそう。今のT.eng氏の話のように、音楽やラップを使うことで、壁が壊れて新しい世界が開けるかもしれない。素敵な意見をありがとうございます。
T.eng氏の感想
心のシャウトは無音よりもラップなビートを刻んで聞く方がすんなり入るかもしれません。
校長の感想
チャイルドラインの活動の様子を初めて伺いました。「話をただ聴く」それだけでも、とても大切な
役割があるのですね。またt.eng氏の提案のチャイルドラインとラップという予想外の組み合わせにびっくりしました。リズムという言葉以外のコミュニケーションがあったんですね。