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918 多田図尋常小学校の人々 「 次回はドミンゴとカレーラスを取り上げます 」


●1限目(9:30~10:10)音楽
「ヴァイオリニストの
     名手 延長戦」
     ~スターンとフランチェスカッティ~
  T.eng氏(音響エンジニア)
  このコーナーの初期にヴァイオリニスト特集を取り上げました。そこではハイフェッツやクライスラーなど数多くの奏者を取り上げました。…が他にもたくさんの名手が多くまだまだ紹介しきれていません。
というわけで先に上げた奏者と並ぶ伝説的奏者としてアイザック・スターンとジノ・フランチェスカッティを取り上げます。延長戦第1弾として選び抜いた名手の音色をまずは聴いてみましょう。
20世紀最高のヴァイオリニストの一人、アイザック・スターン
 アイザック・スターンは1920年ポーランドで生まれ、家族とともにサンフランシスコに移ります。7歳から母親が音楽教育を行い1928年にはサンフランシスコ音楽院に入り、1936年にサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番をサンフランシスコ交響楽団と共演します。1937年にはニューヨークのカーネギーホールでデビュー。第二次世界大戦では扁平足のため軍務に就けず、代わりに合同奉仕団として軍隊の慰問演奏に行きますが、太平洋ソロモン諸島のガダルカナル島に慰問に行った時に、敵国である日本兵が紛れて演奏を聴きに来たという話もあります。1960年台に老朽化したカーネギーホールの解体の計画が立ち上がった時に、レナード・バーンスタインたちと共に保存運動を展開、ニューヨーク市が買い上げることになりました。1975年のオープン85周年記念コンサートにはホロヴィッツやバーンスタインら多数の巨匠とともに演奏しました。また中国で演奏指導を行った様子を記録した映画「毛沢東からモーツァルトへ」は1981年にアカデミー賞を受賞しました。ソリストとしても活躍しましたが、ユージン・イストミン、レナード・ローズとピアノトリオを作って積極的に演奏や録音を行いました。若手の演奏家の教育にも熱心でヨーヨー・マなどを育てました。19世紀の演奏者から若手まで幅広い年代の演奏家たちと共演しました。日本にも度々訪れており、小澤征爾とも仲が良かったです。2001年に心不全で81歳で亡くなりました。
 アイザック・スターンは20世紀最高のヴァイオリニストの一人といっても過言ではありません。
レパートリーはJ.S.バッハ、ベートーベン、メンデルスゾーン、ブラームスなどの古典派の協奏曲が多いのですが、バルトークやバーンスタインなどの現代の協奏曲も演奏しています。彼の演奏の切れ味の明確さはハイフェッツと肩を比べるほどです。楽器はグァルネリを使用していました。
 

 

地中海的音色と超絶技巧を持つ

    ジノ・フランンチェスカッティ

 ジノ・フランチェスカッティは1902年にマルセイユに生まれます。父はパガニーニの弟子に師事したヴァイオリニストで、母はその弟子でした。両親より3歳からヴァイオリンを教えられ、5歳でリサイタルを開き、10歳ではベートーベンのヴァイオリン協奏曲とパガニーニの変奏曲を演奏し世間に知られます。やがてマルセイユ音楽院で学び始め、途中で法学を志すも、21歳の時に父が急死してヴァイオリニストに戻り家計を助けました。1924年にはパガニーニのヴァイオリン協奏曲でパリでデビューします。ジャック・ティボーに認められ師事、その推薦で1927年にパリ音楽院のコンサートで演奏します。しかしパリ音楽院には入学せず、エコール・ノルマル音楽院の教授となります。1939年にはアメリカに渡りニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団と共演した後、アメリカに移住し、フランスとアメリカを拠点に世界で活躍します。第二次世界大戦ではほぼ引退状態でしたが、1950年代では世界中から超一級の巨匠として名声を博します。1976年には引退し愛機ストラディバリも売却、若い演奏家を支援する財団を立ち上げます。その後、フランスに移住して1991年に89歳で亡くなります。
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 父がイタリア系で母が南仏系ということでフランス人ながら音色はイタリア系です。これは両親がパガニーニ系の演奏家で、パリ音楽院に行かなかったことと関係があると思います。特に中高域が輝かしい明るい音色で、本人も「もし私がヴァイオリニストでなければ地中海で農家をやっていた」というくらい太陽の匂いが好きで、パガニーニの演奏ではトップクラスの名声を得ていました。地中海的なヴァイオリンを歌わせる演奏はストラディバリの本来の良さを最も引き出す演奏家でした。言ってみればヴァイオリンでパヴァロッティの歌声のような音色を出せるのでした。
高子未乃梨さんの感想
日曜の朝、コーヒーを飲みながら音楽を楽しむ。なんて贅沢なひとときでしょう。ありがとうございます。
Tさんの感想
素敵な音楽をありがとうございました。
校長の感想
 今回、T.eng氏はお仕事を重なってしまい、外出先からの参加でした。授業プログラムは事前に40分のパッケージとして送っていただき、画面共有での授業でしたが無事終了しました。ありがとうございました。
 さて本日の授業のフランチェスカッティの白黒の動画には圧倒されました。ヴァイオリンで、ここまで音が出せるのですね。これでもかと超絶技巧を見せつけられた思いです。
T.eng氏の感想

次回はドミンゴとカレーラスを取り上げます 。