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922 多田図尋常小学校の人々 「次回はアムランとカツァリスを取り上げます」


●2限目(10:10~10:50)音楽
「三大テノールの二人」
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ドミンゴとカレーラス
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                 T.eng氏(音響エンジニア)
 
第35回の多田図小の音楽授業
にてカラスとともにパヴァロッティを紹介しましたが、三大テノールというからには
パヴァロッティ以外の二人を取り上げないわけにはいきません。
この二人も十分すぎるほどに
巨匠です。というわけで残りの二人、
プラシド・ドミンゴ
ホセ・カレーラスに出てもらいましょう。
この二人はまだまだ現役です。存命の間に聴ける作品はガンガン聴いておきましょう!
 
 
歌手だけでなく指揮、芸術監督と
    幅広い活動をするドミンゴ
 
 プラシド・ドミンゴ
は1941年にスペインのマドリードで、オペラの一種であるサルスエラ歌手の両親の元に生まれ、早くから歌舞伎同様、子役として舞台に立っていました。1949年に家族とメキシコに移り1955年にメキシコ国立音楽院でピアノと指揮を学び始め、1959年にはメキシコ国立歌劇場でデビューします。1962年にイスラエルに移りテルアビブ歌劇場、その後アメリカに移りニューヨーク・シティオペラで活動し、1967年にはウィーン国立劇場でデビューと、破竹の勢いで活躍します。さらに1968年にはハンブルグにてローエングリンを歌いワーグナー作品に挑戦しますが、無理が祟って声帯を痛めてしまいます。同じ年にニューヨーク・メトロポリタン歌劇場で「アドリアーナ・ルクヴルール」のマウリツィオ役のスター歌手のキャンセルがあり、同じ役のリハーサルをしていたドミンゴは代役を頼まれてデビューを果たします。
 ドミンゴはオペラ以外でも活動、フォーク歌手ジョン・デンバーとレコーディングしたり他のジャンルの歌手とも共演しました。またパヴァロッティ、カレーラスとの三大テノールとして、1990年のFIFAワールドカップイタリア大会から2002年の日韓大会まで3回合同演奏を行い、1992年のバルセロナオリンピック開会式と閉会式、2008年北京大会の閉会式でも歌いました。日本にもよく来日し、特に東日本大震災の時には多くの演奏家がキャンセルする中、予定通り来日して演奏活動を行い、最後に日本語で「故郷」を歌いました。またF1レースも大好きで2013年日本グランプリではプレゼンターまでやっています。
 歌手以外ではピアノ演奏にも高い技術をもち、さらにオペラの指揮者やワシントン歌劇場の芸術監督など広い活動をしています。ドミンゴは美声、特に中音域が充実しており、加えて高い演技力や、歌唱力により、世界中から評価されています。また軽やかな歌から重厚な歌まで、幅広い役に対応できます。さらにイタリア、フランス、ドイツ、英語、ロシアのオペラをそれぞれの言語で歌うほど、高い語学力を持っています。
 

 

白血病から復活した
 オペラ界の世界的スター
         カレーラス
 ホセ・カレーラスは1946年にバルセロナで音楽とは縁のない労働者階級の両親のもとに生まれますが、小さな時から音楽的な才能を発揮、8歳でスペイン国立放送で「女心の歌」を歌い、やがてリセウ音楽院に進みます。バルセロナ大学で化学の勉強をしたこともあります。1970年にリセウ劇場で「ノルマ」の脇役でデビュー、主役の歌手モンセラート・カバリェの目に留まり、1971年にはカバリェとともに「マリア・ストゥアルダ」でロンドン・デビュー。その後もしばらく2人でオペラで共演しました。さらに1971年にイタリアのパルマ、1972年にニューヨーク・シティ・オペラ、1974年ウィーン国立歌劇場と続けてデビューし高い評価を得て、世界的なオペラスターとしての地位を確立します。ところが1987年に白血病で倒れ、化学療法や骨髄移植などの治療を受けて奇跡的に回復、見事に復活します。1988年に「ホセ・カレーラス国際白血病財団」を設立。1990年のFIFAワールドカップイタリア大会開会式ではドミンゴ、パヴァロッティと三大テノールとして歌いました。また1992年に故郷のバルセロナで開催されたオリンピックの閉会式ではサラ・ブライトンとテーマソングを歌い上げ大きな拍手を受けました。70歳を超えても積極的に他のジャンルのパフォーマンスなどにも挑戦してボーダレスの先陣を切ったのです。
 カレーラスの声は親しみやすくスルッと入れる軽めの声で、特にハイトーンの伸びがあります。高音音域がやや不安定なものの、決して劣っているわけではなく、後になると、華やかさよりも暗めで重厚な役もこなすようになります。
雨宮さんの感想
 私はこの中ではカレーラスが一番好きです。今回は二人の個性の違いも含めてオペラをたっぷり楽しめました。ありがとうございました。
校長の感想
 昔から「三大テノール」という言葉だけは聞いていましたが、中身は全く分かりませんでした。今回、聞いてみて、カレーラスの印象は軽やか、比べてドミンゴは重厚なイメージ、そしてパヴァロッティは、この二人を押しのけてしまう勢いを感じました。これが3大テノールだったのですね。
T.eng氏の感想
次回はアムランとカツァリスを取り上げます。