· 

934 多田図尋常小学校の人々「次回は同姓同名二人のジョン・ウィリアムスです」


●2限目(10:10~10:50)音楽
「Coffee Break Music In Tadaz」 

 本日のバリスタの気まぐれブレンド

「弦楽四重奏の世界に

       ようこそ」

   T.eng氏(音響エンジニア)

   クラシックにおける「室内楽」というとヴァイオリンソナタやチェロソナタ、ピアノ三重奏曲などがあります。そんな中でピアノが全く絡まない弦楽四重奏曲という分野もあります。弦楽だけで奏でるこのジャンルにも大山脈レベルの中身の濃い音楽がたくさんあるのです。今回はその中でアルバン・ベルク弦楽四重奏団とジュリアード弦楽四重奏団を取り上げました。

 

弦楽四重奏団
 弦楽四重奏団は2本のヴァイオリンとヴィオラとチェロの4つの楽器から構成される楽団で、この4つの楽器が協調して一つの響きを作っていきます。始まりはアレッサンドロ・スカルラッティですが、68曲の弦楽四重奏曲を作ったハイドンが積極的に「弦楽四重奏曲」という言葉を使い、ここから「弦楽四重奏」というスタイルが決まりました。ハイドンに続いてモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ドボルザーク、ドビュッシー、ショスタコービッチ、ブーレーズなども多くの作曲家が作品を作るようになり交響曲と並ぶジャンルとなります。

 

演奏を聴いた作曲家から
  初演を頼まれる弦楽四重奏団
 アルバン・ベルク四重奏団は1970年にウィーン国立音楽大学の教授でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターだったギュンター・ピヒラーが同僚に声をかけて結成しました。
「アルバン・ベルク」はシェーンベルクの弟子のオーストリアの作曲家の名前ですが、未亡人が自分の夫の名前の使用を認めました。結成した後でも、現代音楽をレパートリーに取り入れていたラサール弦楽四重奏団に学びにいくなど常に新しい取り組みをしていました。ロンドンのクィーン・エリザベス・ホール、パリのシャンゼリゼなど、各地でデビューします。その完璧で絶妙なアンサンブルは非常に高く評価されました。
 レパートリーは広く、ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト、シューベルトなどの古典から20世紀の現代曲も多く、その演奏の確かさでは一目も二目も置かれていました。この楽団の活躍を知った現代作曲家から初演を頼まれることも多いです。また多くの著名ソリストとも共演しました。2005年にヴィオラのトーマス・カクシュカが亡くなりその弟子のイザベル・カリシウスが加入しましたが、その高いアンサンブルや均一性を再現できなかったのか2008年に解散します。

 

アインシュタインとも共演、
   戦後の弦楽四重奏団の規範
 ジュリアード弦楽四重奏団は1946年にアメリカ最高峰のジュリアード音楽院の校長で作曲家のウィリアム・シューマンが提案して、音楽院の若手教授たちで結成された世界的レベルの四重奏団です。メンバーの入れ替わりもあり、抜けたり戻ったりする場合もありますが、立ち上げ時の第一ヴァイオリンのロバート・マンは50年近く参加していました。

 

 レパートリーは広くモーツァルト、ベートーヴェンなどのクラシックからバルトーク、ヒンデミット、エリオット・カーターなどの現代音楽まで広く演奏します。2014年にはIOSで弦楽四重奏団のアプリまで作ってしまいました。演奏はアメリカ生まれゆえに民族色を優先せず、完璧で緻密、高度な音楽性をもち、戦後の弦楽四重奏団の規範ともいえます。結成時のメンバーのうち二人が作曲家ということもあり、作曲家の意図を丁寧に汲み取り「実はこうじゃないか」と大胆に解釈を見直すこともあります。共演者もグレン・グールドから、科学者のアインシュタイン(!)などとも演奏をしました。
 
江口知佳さんの感想
 素敵な音楽をずっと聴いていたいのですが、打ち合わせに行かねばならず、退室します。今日はありがとうございました!

 

雨宮真由美さんの感想
 T.engさんのプログラムは鉄板で、今回も本当に楽しかったです。

 

校長の感想
 実は、私の学生時代に知っていた外国の音楽学校はジュリアード音楽院だけでした。おそらく有名な演奏家がジュリアードに留学した記事を何かの雑誌で読んだんだと思います、詳細は不明。こんなすごい音楽院だったんですね。

 

T.eng氏の感想
 次回は同姓同名!?ということで「ジョン・ウィリアムス」を取り上げます。