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945 多田図尋常小学校の人々「人の助けになることがしたいと思いました」


●1限目(9:30~10:10) 社会

「僕は看護学生1年です!」

   〜高校ラグビー部から看護専門学校へ〜
    井上碧さん(看護専門学校学生
 
 7月の多田図尋常小学校のゲスト講師の井上麻子さんのご長男で、大倉山ドキュメンタリー映画祭でも物販のお手伝いをされていた井上碧さんは、現在、看護専門学校1年生。高校生ではラグビー部で活動されていた碧さんが、なぜそのような進路選択をしたのでしょうか。また実際に入学してみた感じなど、そのあたりからお話を伺いました。
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屋外プールにビビって

           高校でラグビー部に入りました 

 私は子供の頃は本を読んだり絵を描いたりすることが好きでした。一時「ハリーポッター」にはハマって全巻読んで、もちろん映画も見に行きました。委員会活動では図書委員会の委員長もやっていました。実はこう見えてもパンダが大好きで、上野動物園に何度も会いに行ったり、科学博物館の特別展示会もチェックして行きました。今でもパンダは大好きでパンダの事務用品などを愛用しています。小学4年くらいから水泳教室に通っていて、中学では水泳部で活動していました。科目では理科系が得意で英語は苦手でした。高校は都立狛江高校に進みましたが得意な水泳部には入りませんでした。理由は中学校では屋内のを使っていましたが高校のプールは屋外だったためです。どうせ泳ぐのであれば中学の頃と同じく一年中泳いでいたかったこともあり、色々考えた末、私は空手もやっていて体には少し自信があったので、ラグビー部に入りました。

 ラグビーは水泳と違ってチームで動くので、頭を使う分、厳しい面、とても楽しかったです。例えばラグビーの陣形で、「へ」の字の頂点のポジションだとボールを受け取った瞬間に、誰にどうパスをするかが大変重要になってきます。基本的に体格的に重いメンバーがタックルをしたり、比較的に小さい奴は相手の陣地へ素早く走り込むという役割があります。私は体力的には自信がありましたが、身長は170センチで体重が80キロなので体格的にはそれほど大きくはありませんでした。ラグビー部の引退は3年ですが、花園で開かれる全国大会に出場すると、勝ち進めば進むほど、引退の時期が遅れる可能性があります。幸か不幸か私の学校はほぼ毎回、2回戦敗退でした。そもそも都立高校のラグビー部は少ないし、あまり強くありません。大会に出てくる4分の3は私立学校なので、1回戦で都立に勝っても次の私学に負けてしまうのです。

将来、人を助けることをしたい

 スランプですか?実は2年の時にメンタル的にやられてしまいました。体格的にも技量的にもそれほど優れているわけでもない私は、チームの足を引っ張っているのではないかと悩んでしまったのです。気がつくと朝起きにくくなって学校に遅刻したり、休んだりしてしまいました。幸いスクールカウンセラーの方が丁寧に相談に乗ってくれて、話を聞いてくれたので「結局、今、直面していることをやるしかない」と腹を括って復帰することができました。
 ラグビー部の部活動から学んだのは、一人じゃできないことも助け合うことで可能だということです。僕が落ち込んで一人で悩んでいた時も、カウンセラーの方を初め多くの方が相談に乗ってくれて、悩む私を支えてくれたことがとても嬉しかったです。その時「僕は将来、人を助けることをしたい。医学部は無理でも看護学部ならどうにかなりそう」と漠然に思ったのです。3年になると看護志望校の資料を集めて実際に学校見学に行ったり、さらに共通テストに向けて予備校にも通って勉強しました。看護系の学校を4校受験したのですが、結局、慈恵医科大学付属第3看護専門学校に入学しました。看護専門学校の男女比は1:9位です。学生が団体で集まると女性の中に男がちらほらという感じですね。
 4月から始まった専門学校の授業は結構面白いです。教養学科は今まで習ったことの復習という感じですが、それでも看護という位置付けを改めて認識し直したりできます。また人体を扱う専門学科は知らないことばかりなので、とても刺激があります。前期の成績を見ると試験はまあ良かったのですが、レポートがいまひとつでした。ここを少し考えた方がいいかもしれません。

 

コミュニケーションが大変でした

 また10月初旬の5日間、隣の慈恵病院で第一回の病院実習がありました。1学年50人くらいの学生を5-6人の班に分けてリーダーを置いて、それぞれの実習先に派遣されました。1日目は右も左もわからずに、担当の方にカルガモの親子のようにただついていくばかりでしたが、担当を振られた2日目から、清拭、足浴や、シーツなどのベッド周りの交換をやりました。5日間、実際に患者さんと、関わって感じたことはコミュニケーションが結構大変なことでした。年配の方も多くおられることもあり、私の技術の未熟さもあり、話が通じなかったりしたこともありました。もちろん女性の方も担当しました。「こんなブサイクが担当して申し訳ない」という気持ちがありましたが、精一杯お世話をさせていただきました。
 入学してから半年経ち1回目の実習も終えました。専門学校は3年制ですが、残りの2年半へ向けて、改めて気合いが入った感じです。看護は1つ1つの援助を正しく早く確実にやることで、患者さんとの信頼が生まれるんだと改めて思いました。また実習の体験後は、授業で習う言葉にもリアリティが出てきました。また学生同士で演習する時にも、無意識に実習の体験が反映され、しっかりと議論しながら進めていけます。これからも頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

 

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T.eng氏の感想
 福祉医療関係の人と話すといつも感じることがあります。それは自分が正しいことをやっているという思いから視野狭窄に陥ってしまいがちなことです。私は職業柄、番組制作で、社長さんから個人経営の方までさまざまな方とお会いしますが、これはと思う人に共通するのが、視野の広さなんですね。参考に私の制作した番組「PROTO〜プロトタイプからオリジナルへ〜」はコミュニティ放送で流れています。ネットで見ることもできます。(https://musicbird.jp/cfm/)
 視野狭窄にならないためには積極的に外の世界に出ましょう。例えば登山に行くことをおすすめします。八ヶ岳でも、丹沢でもいいのです。いつも囲まれている人工物から離れて自然に包まれること、これがとても有効だと思います。
井上さん:確かに医療でも正しさを求めすぎると、ある種狂気じみた部分や宗教っぽいところに陥りやすいもかもしれません。先日、近場の高尾山に行ってきましたが結構混んでいました。もう少し遠い人の少ないところがいいかもしれませんね。
校長からの質問
井上さんは休みなど時間のある時には何をして息抜きをしていますか。
井上さん:映画を見たり、本を読んだり、あ、今読んでる本はスティーブン・キングのホラー小説「ペット•セマタリー」ですが、これがけっこう面白いです。あとは鉄アレイで体を作ったり、たまに友達をカードゲームのウノなどをしたりしますね。

 

校長の感想
 10年以上前、大倉山ドキュメンタリー映画祭のスタッフだったお母様の井上麻子さんに連れられてクッキー販売のお手伝いをしていた井上碧さんが、看護専門学校に入学したとお聞きして意外な感じがしました。でも今回、お話を伺うととても自然な流れだったので意外さは消えて当然のような気がしてきました。学校を卒業して就職したら、またお話を聞かせてください。
井上さんの感想
 今回、中城さんから授業を打診された時に、私如きが40分持つのかととても心配でした。でも実際にやってみると40分があっという間だったので、意外でした。
 今回の授業を通して、改めて、今までを振り返る事でどうして自分が看護師になりたいと思ったのかを再認識できるいい機会となりました。また、所属を名乗った手前かなり返答に気を遣っていた所がありました。しかし、思ったよりもフランクな空気感だった為、次があればもう少し気楽に色々な事を織り交ぜながら話していきたいと思いました。